日本語を教える上で最も難しいと感じるのはどのような場面ですか。
やはり、学生が難しい文法や表現につまずいてしまうときですね。特に、日本語の敬語やニュアンスの違いを説明するのは簡単ではありません。それに加えて、日本語には中国語に直接対応する表現がないものも多く、学生に理解してもらうのが難しいこともあります。日本特有の文化や人間関係に基づいた表現は、単なる直訳では伝わりにくいです。また、日本語の話し手の視点を表す表現も難しく、授受表現(~てあげる、~てもらう、~てくれる)を使うことで視点がより複雑になるため、学生が混乱することもあります。でも、試行錯誤しながら理解を深め、実際の会話で使えるようになったときは本当に嬉しいです。日本人と自然に会話できるようになった姿を見ると、努力が報われたと感じます。
Q.先生ご自身が日本語に興味を持ったきっかけは何ですか。
高校時代、日本のテレビドラマや日本のスターが好きで、日本に対してもともと良い印象を持っていました。また、台湾の親日的な雰囲気の中で育ったこともあり、日本文化には自然と興味を持っていました。もともと外国語が好きで、大学入試では英語を第一志望にしていましたが、試験の結果で日本語学科に進学することになりました。そこから日本語との不思議な縁が始まり、気がつけば日本語を使って仕事をするほど、深く関わることになりました。今では、日本語が自分の人生の大きな一部になっていると感じています。
Q.日本語教育者にとって最も大切なことは何だと考えますか。
やはり、学生の目線に立つことだと思います。ただ知識を教えるだけでなく、学生がどこでつまずいているのか、どうすれば楽しく学べるのかを考えながら教えることが大切です。そして、学生が「日本語を学んでよかった!」と思えるように、学習の楽しさを伝えることも重要だと感じています。
Q.日本語教育のおもしろい(魅力的な)ところはどんなところですか。
一番の魅力は、学生の成長を間近で見られることですね。最初は簡単な挨拶しかできなかった学生が、少しずつ会話ができるようになり、日本人と楽しそうに話している姿を見ると、本当に感動します。また、日本語を学ぶことで学生が新しい世界に挑戦し、夢を叶えていく姿を見られるのも、日本語教師としてのやりがいです。
Q.日本語学習者が学習に行き詰まった時、どのようにモチベーションを上げていますか。
まず、「最初から完璧じゃなくてもいい」と伝えます。語学学習は長い道のりなので、焦らず自分のペースで続けることが大切です。また、自分の成長を実感できるように、学生を励ますことです。例えば、「前は自己紹介も難しかったのに、今は簡単な会話ができるようになった!」と気づくと、自信につながります。そして、楽しく学ぶことも大事なので、好きな日本の映画や音楽を活用することを薦めます。さらに、自分自身の日本語学習の経験を話して、失敗や成功のエピソードを共有することもあります。私自身も日本語学習で苦労したことがありました。でも、その経験があったからこそ、今こうして日本語を教えることができています。学生にも「失敗しても大丈夫、一歩ずつ前に進めばいい」と伝え、少しでも励みになればと思っています。
Q.日本の一番の魅力は何だと思いますか。
日本の一番の魅力は、伝統と現代文化が共存しているところだと思います。美しい神社やお寺がある一方で、最新のテクノロジーやポップカルチャーも発展していて、どちらも日本らしさを感じさせてくれます。また、日本人の「職人精神」もとても魅力的です。何をするにも真剣に取り組み、細部までこだわる姿勢は、本当に尊敬できます。例えば、料理、工芸、サービス業、どの分野においても「最高のものを作る」「最高のおもてなしをする」という意識が強く、それが日本の品質の高さにつながっているのだと思います。学生たちが実際に日本に行って、その魅力を肌で感じることができたら嬉しいですね。