こんにちは、2025年度海外実習に参加した張拙です。
今回実習先として訪れたのは、1934年創立の名門校であるタイのタマサート大学。ここで3週間、現地の学生と交流しながら実習を行い、多くのことを学びました。
活動内容
担当授業「材料の聞き取り」について
- 実施日:2月17日
- 授業時間:45分
- 使用教材:アニメの切り抜き(生教材)
- 学習者人数:13人
- レベル:N2~N3
学生には、授業である音声教材を聞いてもらい、その内容を自分の言葉でまとめる活動をしています。本来はJLPTの聴解問題などを使う手もありましたが、それでは少し味気ないと思い、今回はアニメの切り抜きを活用することにしました。タイの学生が日本のサブカルチャーに強い興味を持っていることを事前のインタビューで知っていたため、この題材はとても効果的だったように思います。
授業の流れを簡単に紹介します。
①:導入
実習生である私たちの自己紹介
②:本活動:
アニメ(字幕なし)を上映
1回目の視聴後、台本(セリフ集)を配布
2回目の視聴を行い、台本上で意味や語彙を確認
グループを作って内容をまとめ、発表
③:まとめ
簡単な振り返りと締めの言葉グループワーク)
アニメを再生し始めた瞬間、先ほどまではやや集中力を欠いていた学生たちが、いっせいに画面を見つめるようになりました。2回目の視聴では台詞表を見ながら熱心に単語を調べる姿が印象的で、「準備した甲斐があった」と強く感じました。
その後は、4つのグループに分かれて協力して内容をまとめる作業に取り組みました。私たち実習生は教室を回って困っている学生に声をかけたり、語彙や表現の質問に答えたりしました。最後にランダムで2つのグループに内容を発表してもらいましたが、多少つかえながらもポイントをしっかり押さえたまとめができていて、非常に良い発表でした。
授業の様子▼

使用した学習シート▼


実習を振り返って
今回の日本語教育実習では、日本語そのものだけでなく、日本文化を紹介する機会が多かったように思います。とはいえ短期間ながらも多くの学びがありました。
最初は模擬授業でも緊張してしまい、声も小さく、「発話調整」(学生のレベルに合わせて話し方を変えること)をする余裕などほとんどありませんでした。しかし、何度か実際の授業を行ううちに、講義台に立った瞬間に「教師モード」に入れるようになり、学生の反応を見ながら話すスピードや説明方法を工夫できるようになったと感じています。
また、タイの学生は日本の文化や言語に強い興味を持っていて、授業にも積極的に取り組んでくれました。その姿勢に刺激を受け、私自身も「もっとわかりやすく伝えるにはどうしたらいいか」と考えながら授業づくりを行うことができました。特に、人に何かを教えることの喜びを改めて感じられたのは大きな収穫です。自分の経験や知識が、学生の成長につながるのを実感すると、本当にやりがいがあります。
3週間はあっという間でしたが、教師としての基本的な心構えや指導技術を学ぶ、貴重な機会になりました。これからも学生の視点と理解度を大切にしつつ、より良い授業を提供できるよう、一層成長していきたいと思います。
タマサート大学での実習を通じて得た経験は、自分が将来どのような教師になりたいかを考える上でも大きなヒントになりました。日本語を学ぶ人々と日本の文化をつなぐ架け橋として、これからも努力を続けたいと思います。