kaigai internship musashino university

2025年春(2024年度)も、無事に現地で実施することができました!
本プログラムは、国際交流基金「大学連携日本語パートナーズプログラム」の助成を受けて実施されました。武蔵野大学グローバル学部日本語コミュニケーション学科の学生(JC生)10名が参加し、4つの大学に2~3名ずつ派遣されました。

派遣期間は2〜3週間で、時期と派遣先は次の通りです。
第1期 2025年2月9日-3月1日 : タマサート大学(タイ)
第2期 2025年2月23日-3月8日 : ハノイ国家大学外国語大学(ベトナム)、ホーチミン市師範大学(ベトナム)、大葉大学(台湾)

活動内容【事前活動・現地実習・事後活動】   

本派遣プログラムは、「海外インターンシップ」という単位認定科目として位置づけられ、履修希望者のJC生は、書類審査と面接を経て、実習生として【事前活動】【現地実習】【事後活動】に参加しました。【事前活動】で派遣先の大学で行うワークショップやインタビュー、教壇実習など【現地実習】の準備、【事後活動】で成果発信のためのホームページコンテンツ作成および成果報告の発表会を行いました。

【事前活動】は2日間行いました。1日目は、渡航先の生活上の留意点、協定校での活動(ワークショップ、プレゼンテーション)の概要、教壇実習のガイダンスと初級日本語授業の概要を確認し、「~ています」を導入練習する教案を考えてみることで、授業のイメージトレーニングを行いました。そして、すでにJC学科の日本語教員養成科目を履修している学生や登壇実習経験のある学生と、日本語教育関連の経験が浅い学生がペアになり、ペアごとに異なる文法項目を担当し、協力して教案を作成することを課題としました。2日目は、考えてきた教案をもとに、実際に教室の前に立って模擬授業を行い、学習者役の実習生がフィードバックをしました。続いて、派遣先の先生方、協定生へのインタビューの手順と実施に伴う倫理的配慮(依頼書、承諾書の作成、音声データや写真などの個人情報を扱う際の注意)の確認を行いました。また、現地で自己紹介・武蔵野大学の紹介を行うためのパワーポイント作成や、ワークショップ準備を行いました。

【現地実習】では、派遣校のカリキュラムに合わせて様々な活動を行いました。教壇実習・ワークショップ・プレゼンテーションを行いました。また、派遣校によっては、プライベートで日本語について相談できる時間や雑談できる時間を設けたり、高校訪問に参加したりしました。また、武蔵野大学卒業生を訪ねて、大学だけでなく現地で語学学習をサポートしている企業への訪問・見学も行いました。

◎ 教壇実習
協定校のコーディネーターの先生が調整してくださり、実習生は授業全体あるいは一部分を担当して登壇実習を行いました。ベトナムでは、2週間という限られた時間でしたが本格的な教壇実習を行いました。先生より、事前にテキストの担当部分が示され、担当実習生が教案を準備して授業を行いました。協定校の学生さんは、とても温かい雰囲気で授業を受けてくださいました。その後、先生から丁寧なフィードバックをいただき、実習生は、達成感を得るとともに日本語を教える上で大切な点に気づくことができ、意義のある経験となりました。実習を通して、教える内容と練習問題のつながりや、授業のゴールをはっきりすること、日本語を調整したり、ジェスチャーや表情にも気を配ることなど、細部にわたって色々なことに気づくことができました。各協定校における実習の様子は、こちらをご覧ください。

◎ ワークショップ
JC生は、日本語コミュニケーション学科2年次のゼミでワークショップの企画運営を行います。その経験を生かして、文化、社会のさまざまな現象や問題についてディスカッションを通して考えるワークショップを、本プログラムに向けて企画し、実施しました。タイでは、日本語クラスで、台湾では、日本・日本語に関するクラスや、高校訪問でワークショップを実施する機会がありました。トピックは若者言葉、日本の四季・行事、日本のオノマトペ、日本の伝統的なお菓子、日本のルール、日本の音クイズなど、いずれも海外で日本語を学ぶ学生さんが興味をもって参加できるようなもので、大変盛り上がりました。また、ワークショップを実施する側の時間配分、声がけや雰囲気の大切さも学ぶことができました。各協定校でのワークショップの様子は、こちらをご覧ください。

◎ プレゼンテーション
事前活動で準備した自己紹介や日本の大学生活紹介、日本語・日本文化紹介のプレゼンを行いました。自己紹介では、趣味などを紹介すると共通の趣味がある学生さんが嬉しそうに手を挙げて表明してくれたりしました。プレゼン後にも聴衆の学生さんからおもしろい質問やコメントが出て、日本語でやり取りをする機会だけでなく、お互いの距離を縮めるきっかけになりました。日本語に関するプレゼンでは、和製外来語について紹介しました。紹介するだけではつまらないのではと、クイズを入れるなど伝える工夫もしました。ビブリオバトルで日本の小説の紹介も!日本の色々なことを紹介するという経験が新鮮で、難しさと楽しさを感じられました。

◎ 現地の学生や他大学の学生との交流
実習生と協定校の学生さんたちは、渡航前からSNSで繋がって情報交換するなど、渡航前から仲間として迎え入れてくれる雰囲気ができていました。また、現地では、日本の他大学の学生さんとの交流もありました。台湾では宮崎大学の学生さんと、ハノイでは名古屋外国語大学の学生さんとの交流もありました。実習生の中には、海外に行くのが初めてという人もいましたが、現地の学生さんがこのように渡航前からきめ細かく準備をしてくれたおかげで、とても心強く感じました。現地では、授業でもプライベートのときでも、本当に温かい手助けをしてくれました。帰国前は離れ難く、再会を信じて感謝の気持ちで各国を後にしました。このように、とても深い交流が実現できたことは、大きな成果でした。

【事後活動】では、派遣大学で行った活動を振り返り、まとめました。教壇実習・ワークショップ・プレゼンテーションやインタビューを記事にして発信しました。マハーサーラカーム大学の先生方が、授業見学に来てくださいました。また、活動全体を通してどのような学びや変化があったのか、プレゼンテーションにまとめてクラス内発表を行いました。クラス内発表は、JC教員だけでなく、本活動を支えてくださった職員の皆さんも来てくださいました。それぞれの派遣校での経験を共有することで、お互いの学びも2倍・3倍になったように感じます。JC生の声は最後にもご紹介します。

事後学修:派遣先活動の発表会(2025年3月11日)

発信スキル(wordpress)

このプログラムでは、発信スキルも磨くために、プロの講師からwordpressを使った記事制作について学びました。

【wordpressを使った記事編集スキル】は、Weyd Designの鎌倉先生に教えていただきました。現代は「発信」の時代。wordpressは世界でも広く使われています。活動についてまとめて学びを振り返るだけでなく、発信スキルも身につけられるのがこの授業の魅力です。多くの学生がwordpressを使うのは初めてでしたが、鎌倉先生のわかりやすいレクチャーを受けてどんどん記事編集を進めていきました。

レクチャーが大変役に立ったと、学生からも好評でした!

さて、JC生はどんな記事を書いたのでしょうか。このサイトにたくさん記事がアップされていますので、活動内容インタビューの内容は、JC生が心を込めて書いた記事からご覧ください!

日本語コミュニケーション学科生(JC生)の声

本プログラムではプログラム終了後に、参加学生に対してオリジナルアンケートも実施しています。このプログラムを通じて、「日本語を教えること」や「日本語でのコミュニケーション」に対する考え方・感じ方に変化がありましたかという質問に、参加者全員が「変化があった」と回答!ここではその変化についての具体的な回答内容やプログラム全体の感想を共有します。コメントを見ると、JC生の皆さんも、本プログラムで多くの学びを得たようです。特に、協定校の先生方にアドバイスを頂きながらの登壇実習・ワークショップ、そして皆さんから刺激と勇気をもらっていることが伝わります!

 現地の日本語学習者たちが、予想以上に日本のことが好きで、積極的にコミュニケーションを取ってくれて驚いた。今回のプログラムは経験として参加した面が大きいが、こんなにも学生の喜ぶ顔が見られるのかと日本語教育のモチベーションが向上した。

タイの学生たちの発音とアクセントは、私が日本語を学んでいた中国の学生たちと全く異なっていました。最初、タイ人学生の日本語を聞いたとき、私はその発音を理解するのが少し難しかったです。タイ語の音の特性やイントネーションの違いが、日本語にどのように影響を与えているのかを実感しました。日本語教育において、こうした発音やアクセントの違いを理解し、適応することが、教える側にとっても重要だと考えるようになりました。(留学生)

個人的に海外に行くことのハードルがとても高く感じてしまっていて、考え込んだり悪い想像をしたりすることもあったのですが、行ってみると想像していた感じとは違い人は優しくて派遣先の環境も良かったのとワークショップで大人数の前に立って進行するというあまりやったことのないことをやり切ることができて、「迷ったらやってみるもんだな」と思えましたし楽しかったです。日本人学生同士ではこの短期間で生まれづらい深い絆が派遣先の大学生との間にできて、彼らのことを人として尊敬できると思ったのでこの縁を大事に、そのような気づきを忘れずにこれからの生活で見習おうと思いました。この経験は学びとしても思い出としても一生の宝物になると思います。(※一部固有名詞を変更)

書かなければならないことはたくさんありますが、この2週間は人生の中でずっと懐かしく思い出す時間になります!

一方で、こんな意見も ↓

日本語教師になるかはわからないけど、資格の取得はしたくなった。

国家資格「日本語教員試験」がR6に第一回目が実施されました。
変化の速い今の時代、どのような仕事に就くか、どのようなスキルが役立つか予測するのは難しいですね。このプログラムに参加するのは大学2年生と3年生。将来の希望や目標がはっきりあるとは限りません。
このような時期に、プログラムを通じて専門的な資格の取得を目指すモチベーションを得られたというこのコメントは、人生の選択肢をひとつ増やし、自分と対話する機会を得られたことを示しているようにも思います。
武蔵野大学日本語コミュニケーション学科では、「日本語教員試験」の受験をサポートする特別対策講座も実施しており、このような気持ちを大切に育てる環境を整えています。

本サイトに掲載されている様々な「かつどう・インタビュー記事」を読んでも、事後活動で自分なりに言葉にし、本プログラムの価値を自分で見つけていることが伝わります。こうした経験のひとつひとつが、自分の価値観や将来について考える対話機会に繋がっていることが窺えました。
私たち教員も、協定校の皆さん、JC生の皆さんがお互いに勇気を持って一歩踏み出し、活動・交流から多くのことを学んでくれたことが本当に嬉しいです。

このサイトの記事を読んでくれた方も、JCとひとつの縁が繋がったと思っています。
こうして広がるご縁が、これからも大きく、広く、長く続きますように!

海外インターンシップ担当教員 藤浦五月・岩田夏穂