概要

今回私は、「~のに」「~てしまう/~てしまいました」2つの文法項目を師範大学の1年生に教えました。この2つの文法は、日本語初級者が学習する文法です。

今回の授業目標は、「学習文法を使って、自分で文章を作れるようになる!」です。この目標を達成するために、学習者自身で文章を作る活動を多く取り入れました。

授業について

1クラスは40人前後で授業時間は100分で、今回私は全てを担当しました。使用した教科書は、「ティエン・ニャット・ナン・ドン」という師範大学出版のテキストです。このテキストとパワーポイントを使用して授業を進めました。

授業の流れ  

 

まず、授業の内容に入る前に、既習文法である「~ので」を使って、文章を作る活動を行いました。

「~ので」は「~のに」と反対の意味を持つ文法なので、意味の違いを確認するためにも復習で取り上げました。

復習の後は、「~のに」の文法説明を行いました。スライドを使って、絵と例文を提示して説明しました。スライドは、文字がメインにならないように注意しました。

文法説明の後は、教科書の練習問題を行いました。その後は、学習者自身の力で文章を作る練習を行いました。具体的には、それぞれのグループにカードを配布し、カードに書かれている文章を「~のに」の形に変形して、さらに後ろの文章を考える活動です。

前件と後件で内容が異なってしまわないよう、例を提示しながら作り方を説明しました。

「~のに」の活動が終わった後は、「~てしまう」の説明を行いました。大まかな授業の流れは前半と同様です。スライドも、イラストが主役になるように作りました。

説明の後は、学習者自身が文章を産出する練習を行いました。今回は、学習者に事前に場面を提示し、全文を作り出すという活動です。「日本で困ること」を場面とし、「~てしまう」を使って文章を作ってもらいました。

授業の様子

全体的に真面目に取り組んでいる学生が多い印象でした。また、分からないところがあると、日本語で積極的に質問してくれました。特に、学習者自身が文章を考える時間は、全員が積極的に活動に参加してくれました。

文法説明の時、「のに」と「でも」の違いに混乱する学生が多かったです。「~のに」には、他の逆接表現と違い、「不満」の感情が込められていることを説明する必要があったのですが、そこを学生たちにうまく伝えることができませんでした。

先生からのフィードバッ

授業後に、師範大学の先生方から何点かアドバイスをいただきました。

①時間配分について

授業全体の時間が100分だったのですが、半分近くを説明の時間に使ってしまっていました。学習者はただ話を聞いているだけになってしまっていたため、もう少し学生の練習に時間を充てた方がいいとのことでした。

②日本語を話すスピードについて

最初できるだけゆっくりすることを心掛けていました。しかし、師範大学の学生は、日本での生活を目的として日本語を学習しているため、もっと日本人と会話しているような感覚で指導して良いとのことでした。

③提示する例文の内容について

私の授業では、教科書やインターネットに載っている例文を使用していましたが、その例文だと学習者が日常で使用する日本語力を身に着けることはできません。教科書などにある例文をそのまま使うのではなく、日本人が日常でよく使う場面を取り上げて説明するといいとのことでした。

教壇実習の感想 

楽しかったこと

実習を通して、学習者とコミュニケーションをとれたことです。中には、教科書などに載っていないようなユニークな例文を考える学生もおり、様々な回答を見るのがとても楽しかったです。

◎大変だったこと

学校で行った実習と異なり準備時間が短かったため、教案や教材作成がとても大変でした。また、1つの授業で文法事項を2つ教える必要があったため、適切な時間管理をするのも難しかったです。

◎今後に生かしたいこと

日本国内の日本語学校や大学と異なり、初級のクラスではベトナム語を使って説明する場面が多かったです。そのため、実習よりもさらにやさしい日本語を使って説明する必要がありました。また、ジェスチャーなども多く使用しました。このような日本語初級者に対するコミュニケーション方法は、今後日本語教師になったときだけではなく、日常で外国人と関わる際にも役に立つことだと思います。今回の実習で学んだ日本語のコントロール方法を、今後も生かしていきたいです。

わたしが書きました!
島村 咲花 / Sakika Shimamura
例:日本語コミュニケーション学科3年生(取材当時)
ベトナムの日本語教育に興味があったため、今回のインターンシップに参加しました。海外の日本語学習者に日本語を教える経験は初めてだったため、とても緊張しました。なかなか体験できない機会なので、海外の日本語学習者と交流したい、日本語を教えてみたいと思っている方は、ぜひ参加してみてください!