陳先生が台湾で日本語教育に携わるようになったきっかけを教えてください。
実ははっきりとしたきっかけはないんですよ。日本語教師になったのは、博士号を取得してから「先生になろうかな~」と思ったときに、ちょうどその時たまたま募集があったので、応募したら合格したみたいな感じです。大学も日本語学科でしたが、それも「日本語をやりたい!」という強い意志があったわけではなく、元々外国語に興味があり、大学の入試の際に外国語を適当に志望欄に書いて受験して、それでたまたま日本語専攻になったという感じですね。留学もしましたが「日本語学科だから日本に行ってみようか」みたいな感じで行きました。今考えれば、不思議と日本語を教えるという道が自然にできていたのかなとも思いますね。
Q.台湾という第二言語環境で日本語を教えるうえで、最も難しいと感じることは何ですか?
学生たちがどうやったら上手く話せるようになるかを考えることです。文法など細かい間違いを気にする学生が本当に多いので。どうしたら学生たちが積極的に話せるようになるかを常に考えながら、色々な教室活動を計画しています。ただ、なかなか上手くいかないなと思っています。
Q.陳先生の授業のこだわりは何かありますか?
そこまでこだわっているものはないと思いますが、学生たちのレベルの差を考えながらサポートすることは常に心掛けていますね。できない学生も話せるように、よくできる学生も「つまらない」とか「全部分かっているんだけどな…」と感じないように、学生の力を引き出す感じでサポートしたいなと考えています。
Q.海外の教育現場を知らない、日本語教育を専攻する学生に知ってほしい台湾の日本語教育事情などはありますか?
まずは学生の動機に関することです。やはり海外の教育現場となると、アニメとかサブカルチャーをきっかけに勉強する学習者が多いです。でも教師としては、学生たちにもっと日本語そのものの奥深さを知ってもらいたいなという本音がありますね。だからそこにとどまらず興味を持ってもらうにはどうしたら良いかということも常に考えています。
あと、海外で教えるために言語能力が必要になる場合が多いということです。台湾は大学などの学校以外にも日本語を学ぶ場所として塾とか団体があって、そのような場所で教える場合は中国語や台湾語も必要になってきます。若い人だけではなく、お年寄りの方も来るので、そのような場合は中国語に限らず台湾語も話せた方が活躍できるかなと思います。なので知ってほしいというより、勉強してほしいという感じですね。でも海外で教えている先生方の中には、現地に来て日本語を教えながらその地域の言語を学ぶ先生方もかなりいらっしゃるのですごいなと思います。
もうひとつ、自分の国のことをよく知ることはかなり大事です。海外で教師になるとやはり「日本の代表」みたいな感じになるので、日本のことについてたくさん質問されると思います。私も日本に行ったとき、同じように「台湾人でしょ?」と言われました。色々なことを聞かれましたが、意外に私台湾のこと知らないなと思ったので、言語だけではなく自分の国のことも勉強した方がいいですね。
今のお仕事のやりがいや魅力を教えていただきたいです。
学生を見て「成長したな〜」と思うことですかね。自分からの何かしらの影響で、学生が変わっていき、学生の成長に繋げられたらいいなと思います。また自分ではなくても学生が何かのきっかけで、成長した姿を見ることができる点が教師の仕事の1番ですね。やみつきになる感じで、辞められない仕事だと思います。